| 東京大学生産技術研究所 野城研究室 |
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2006年5月に、住居費負担軽減を実現する住宅の長寿化のために何をなすべきかについて、この国の政策に責任をもっている方々の非公式の勉強会で私見を開陳させていただく機会をいただきました。 その質疑応答のなかで、100年住宅を政策目標にすることが話題に挙がりましたが、私は、「確かに、本日お話申し上げましたように、100年住宅すらも実現していないのが日本の現実です。しかしながら、建築界では、4半世紀以上前から100年住宅という目標が掲げられてきました。むしろ、200年住宅という目標を掲げて下されば、建築関係者は新たな挑戦をするのだ、ということを明確に認識してくれると思います。」と申し上げました。 その後、はからずも200年住宅を目標に掲げた政策構想が練り上げられていったことに、驚き、光栄に思うとともに、責任も感じました。そこで、先ず隗より始めるのが研究者としての務めであると認識し、家歴書(住宅履歴書)システムづくりなど、勉強会の席で提案した方策を具現化するための技術開発や制度提言に取り組んできました。 耳目が集まるとともに200年住宅という言葉にも、様々な人々によって様々な意味が与えられ、様々に解釈され始められています。 現代社会で、言葉は、ひとたび俎上に載せられれば自己運動をはじめるわけですから、とやかく申し上げるべきではない、むしろ、これだけ議論を生み、人々がパラダイムを見直すきっかけづくりに貢献できたことを喜ぼうと思い、静観し続けることにしていました。 ですが、最近の議論を拝見すると、「200年住宅は、荒唐無稽な概念」などなど、そもそもの提案の趣旨をご理解いただけていないような意見も流通するようになりました。 それでは、せっかく持続可能な経済社会を実現するために、住生活分野で芽生えはじめた改革の芽がつみとられてしまいかねません。 そこで、私がどのような趣旨で200年住宅という目標の提案をさせていただいたのかをおわかりいただくため、昨年の非公式の勉強会で使わせていただいた資料を公開させていただくことにしました。 資料:既存建築物の活用について.pdf (2006年5月29日) この資料は、国民が物心ともに、ゆとりをもって暮らしていけるためには、居住と資産価値の安定を実現させていかねばならないことを説いています。 高度経済成長時代であれば、 安くて品質の良い住宅を新築すること がその手段になりえました。しかし、現在の日本では、 既存の住宅に継続的に投資していくこと こそが、居住の安定と資産価値の安定を実現するための主たる手段にならざるを得ないのだということ、そのためには、何を為さねばならないかを、この資料は説明しています。 持続可能な経済社会を実現するためには、22世紀に至るまでの超長期の視点にたって、発想を転換し、居住と資産価値の安定を究極の目標にした制度の再設計、そ の再設計を実効たらしめる、技術開発と産業構造の転換が包括的に進められていかねばなりません。200年住宅という目標設定は、まさにそのための触媒なのです。
補足1 家歴書(住宅履歴書)システムづくり、については次のサイトをご覧下さい。 また、次の資料もご参考にしてください。 資料:ストック社会に向けてのデータ整備.pdf
補足2 住宅生産団体連合会では、「住宅の長寿命化(200年もたせる住宅)を実現するための提言」を作成しました。私も、その提言策定の検討会の座長としてお手伝いをしました。提言の内容は次のサイトで紹介されています。 http://www.judanren.or.jp/200/index.html
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