「第4回宇宙建築賞 最優秀賞」

野城研究室修士1年の3名による作品が宇宙建築賞にて最優秀賞を獲得しました。

Our first year master student team has won a best award in the 4th Space Architectural Award.



第4回宇宙建築賞入賞作品発表 最優秀賞(1作品)

設計条件: 人類の未来にとって有益な火星施設を設計する。

DIG+DEPOSIT

野城研究室修士1年  小澤巧太郎  五十嵐宇晴  岡本圭介

審査委員:
宮本英昭(東京大学院工学系研究科システム創成学専攻)/審査委員長
大貫美鈴(スペースフロンティアファンデーション・アジアリエゾン代表)
寺薗淳也(会津大学先端情報科学研究センター)
竹内宏俊(建築家・日本工業大学建築学科)

特別協力:
山崎直子 (宇宙飛行士)

キュレーター:
十亀昭人(東海大学工学部建築学科)

講評:宮本 英昭
東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻/審査委員長

カテナという天然の陥没構造を利用して、地下に横穴式の住居群を作成するというアイディアが提案されています。火星に居住する上で難点となるのが、厳しい放射線環境と温度環境ですが、地下に居住空間を設置することで火星レゴリスの持つ高い放射線遮蔽効率と熱容量を利用することができ、安全な空間を作成できるとするものです。アイディアが明瞭でプレゼンテーションの完成度も高いため、審査委員の強い支持を集めました。
 近年の科学探査で得られた知見が背景にうまく取り入れられている点も、評価されました。たとえば中緯度帯の地下に氷が広く存在する可能性が指摘されていることから、その氷を放射線の遮蔽や採光に利用することを想定していたり、火星レゴリスの化学組成の特徴を生かし、自由な造形を可能にするコンクリートを作成することなどが提案されています。具体的な建設地点として中緯度帯のフレゲソン・カテナが挙げられていますが、この地域は数キロメートル程度の幅で直線状に凹んだ地形が広がっている場所ですから、確かに提案されている横穴式の構造を作るのに適した地形と言えるでしょう。ちなみにこの構造は、アルバ・パテラという巨大な火山地形の形成時に作られたものですが、関連して周囲に幾つもの丸い陥没地形も見られることから、実は地表からは見えない沢山の地下空洞が存在していると考えられます。そのため材料の採掘と住居用の空間確保とを同時に進める、という提示されたアイディアは、こうした天然の構造をうまく利用することで、効率よく実施できるかもしれません。
 将来の都市建設まで視野に入れ、いくつもの構造に増殖する発展性も記載されています。こうした構造が必要とされる背景として、人類文明や地球生命DNAなど地球上の活動をアーカイブ化して火星に持ち込み、いわば地球のバックアップを作成するのだ、という主張も興味深く拝見しました。

宇宙建築賞

2017.12.31